40代で経理職への転職を成功させるには

40代以降の転職難易度は引き続き高い状況です。しかし、転職活動を戦略的に進めることで、40代であっても満足いく転職を実現させることも不可能ではありません。

この記事では、40代の経理職転職におけるポイントを、経験者と未経験者に分けて解説します。
成功へ繋がる具体的な戦略とポイントをまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

40代の経理転職の需給状況

40代で経理職に転職を考える際は、前提となる市場の需給状況を理解することが重要です。経理職は安定した募集があり、応募も活発です。特に40代という年齢層では、経験者と未経験者で市場の受け入れ方に大きな違いがあります。それぞれ見ていきましょう。

40代経理経験者の場合

40代で経理経験がある場合、市場における需要は比較的高いです。
大手企業は実務とマネジメントの経験豊富な方を求めており、中堅・中小企業では、プレイング可能かつ広範な業務範囲を担える人材が人気です。

実務経験者は、上記で述べたように求められているポイントに対し、十分に応える職務経歴書の準備、面接への準備が大切です。

具体的な経験や業績改善の事例を提示することで、転職活動の成功率を高めることができるでしょう。

40代経理未経験者の場合

40代で経理職未経験から経理職へ転職を目指す場合、非常に厳しい状況です。

経理職は人気が高く、2022年の全国有効求人倍率0.57にも現れている通りです。とはいえ、可能性を高める方法として、2つ挙げます。

1つ目は、会計知識や経理に関連する資格(例えば日商簿記2級以上)の取得をすることです。資格は、経理の基本的な知識と技能を持っていることの証明となり、採用側に安心感を与えます。

2つ目は、地方の求人も検討することです。先程の通り(2022年の全国有効求人倍率)、全国0.57に対し、東京は0.48です。いくつか例を挙げると、青森県は0.99、新潟県は1.03、島根県1.45と違いがあることが分かります。

企業人事担当者の考え、注意深く見る点

ここでは、企業の人事担当者がどのように考えているか、理解を深めましょう。
経験者と未経験者、それぞれに対して企業がどのような期待と懸念を持っているのかを見ていきます。

40代経理経験者の場合

40代で経理経験がある場合、採用側は次のいくつかの点を見極めたいと考えます。

  • マネジメントの経験有無、ある場合の組織規模
  • 現職、前職での会計基準
  • 公認会計士資格、税理士資格の有無
  • 資金調達の経験
  • 業務改善、DX推進の経験

企業文化に合うかやスキルが本物かの見極めに加え、これらポイントが見られるでしょう。

40代以降のキャリア採用では、現場の担当者層ではなく、マネジメント層の募集が多くなります。このため、年収帯が現職企業によりバラけることから、自社報酬体系との合致度合いも重要です。

40代経理未経験者の場合

ここでは経理を含む総務ポジションに代表される、バックオフィスを一人で切り盛りするようなお話ではなく、未経験から経理担当者として採用するケースとします。また税理士資格を持つが実務経験がないなどの特殊ケースを除きます。

  • 自己学習で経理に関する知識等を学んでいるか
  • 年下のスタッフが上長でもチーム内コミュニケーションに問題はないか
  • MS Office操作やタスク管理と言ったビジネス基礎スキルがあるか
  • 他職種から経理を志望した理由、その背景

上記は適性を測る目的でも見極められるポイントになるでしょう。加えて、過去の仕事において培ったスキルや経験が経理職にどのように活かせるかも見ることとなるでしょう。

新しいチャレンジになりますから、学習意欲、向上心が重視される傾向があります。

40代経理転職の成功のカギ

40代で経理への転職を考えている方々は、経験者と未経験者とで異なるアプローチが必要です。成功のカギは、ご自身の状況を正確に理解し、適切な戦略を立てることです。

40代経理経験者の場合

40代の経理経験者は、経理実務の経験を整理することに加え、プラスαで加点が取れるポイントをまとめることが重要です。

ここでの加点は、応募先企業により変化します。採用企業の規模、状態、外からでは見えづらいですが抱える問題に応じて、アピールすべきポイントが変わります。

事前準備になるよう、ここでいくつかのケースを考えてみましょう。

従業員50名、アプリ開発や運営を主業務にし、成長意欲が高い企業の場合

  • バックオフィス体制は構築段階
  • システム等への投資は積極的でSaaSの活用が進んでいる
  • 成長に伴う資金ニーズが強い
  • 人の出入りが激しく、人員数は増加中

現状課題、1~2年先の課題、IPOを目指している場合には上場に向けての課題と時間経過に伴い変化している可能性を感じるサンプルケースです。

眼の前の業務を自立して推進できる人材かつ、中長期目線であるべき姿を定めて、計画的に進めていく力を求められるでしょう。

ご自身の経験と照らし合わせて、どのような経験をアピールすべきか考えてみましょう。

従業員数200名、建築、不動産、建築機械レンタル、運送業など、地域に根づいた多角化を進めた企業で、安定性を重視する場合

  • 勤続の長い経理スタッフ、長い付き合いの顧問税理士
  • 取引先はある程度固定化されている
  • CFは安定、半期決算と通期決算
  • 経理システムは税理士指定のもの

経営層が経理業務へどの程度関与しているか、システム等の活用に対しどの程度前向きかによってアピールポイントが変わりそうなサンプルケースです。

支払い遅延や未収の影響が大きな業界であるため、安定性を強化できる経験をお持ちの方に相性が良いでしょう。

40代経理未経験者の場合

企業側の視点に立つと、育成前提であれば、若手(定年まで期間が長い者)を採用したいと思うのは自然です。

この差分を埋めるためには、知識のインプットにおいて自走できる点をアピールすることが重要です。
簿記資格の取得に代表される学習を「実際に進めた」上で、トライできると良いでしょう。

加えて、他業務での経験やスキルを経理職にどう活かせるかを考え、まとめておきましょう。

会計ソフトの操作スキルなどデジタル技術に精通していることも、未経験者がアピールできるポイントです。

まとめ

この記事では、40代の経理転職をテーマに解説しました。

経験者、未経験者で内容は大きく異なります。ご自身に合わせた準備をしましょう。